現在進行形のお話。
 猫というものは、たいがいお気に入りの場所というものを持っているものですが、うちの猫は二階ある元私の部屋がお気に入りです。
 この部屋にはベランダへの出入り口となるガラスのドアがあり、外が見えるようになっています。
 どうやらここから外を見ることが、うちの猫にとってたまらなく面白いことのようなのです。
 そこで彼は隙さえあれば凄い勢いで階段を駆け登り、私の部屋に侵入して何時間も降りてきません。
 たまに私が部屋に連れていってやると、ひとしきり人の足下でうにゃうにゃやってからやっぱりそのドアの所に行って、何時間でもずっと外を見ているのです。
 一度、何か面白いものでも見られるのかと一緒になって外を眺めたことがありますが、代わり映えしない庭と道路を歩く人々しか見えませんでした。
 もし猫としゃべることが出来たのなら、私が知らない新しい庭の眺め方を教えてもらうつもりです。