私が通い詰めている研究室がある建物の名前は、自然館というのですがこの建物の門の前に最近チャーコと私が勝手に名付けた猫が住んでいます。
この猫はまあ野良猫なのですが、野良猫とは思えないほどの美貌の持ち主なのです。
普通野良猫というものは毛並みがよくなく、木の葉の切れっ端などがついており、撫でてみるとちょっとざらつきます。
これは彼らの食生活が満足できるものでないことと、風雨にさらされ草むらを這いずり回るという生活を余儀なくされていることに起因しています。
ところが自然館では猫にキャットフードを与える人がいる上に、発泡スチロールの箱を家として提供しています。
食と住が満たされた猫は衣 即ち毛並みをかえりみる余裕が出てくるのです。
まあ、世の中には余裕があっても衣かえりみない奴もいるのですが、チャーコは身だしなみに気を遣う性格であるようで、彼女を撫でるとビロードのような感触が味わえます。